74
第 4 章 画面の見方
4.1 物標の高さと物標までの距離
レーダで観測できる物標までの最長距離は、そのレーダの送信出力、空中線ビーム幅、受信
感度等の性能のほかに、物標の高さ、物標までの距離、レーダ空中線の高さなども、最大探知
距離に影響を与えます。これは、レーダから発射される電波は地球の湾曲による影響をほとん
ど受けずに直進するためです。
【探知距離と物標】
例えば、空中線が水面から 3 メートルの高さにある場合、その位置から 10 海里の距離にあ
る高さ 10 メートルの島によるエコーの映像は画面上に映し出されますが、同じ距離にある高
さ 5 メートルの島は、レーダから発射された電波が当たらないため、エコーの映像は映し出
されません。ただし、これらの値は理論値であり、気象条件等により一定ではありません。
10 海里の距離にある物標は理論上 7.6 メートル以上の高さが必要で、それより低い物標は画
面上に映し出されないことになるので注意が必要です。
空中線あるいは物標の高さが低い場合、その物標は観測できない場合があります。
a
1
=2.23√h
1
a
2
=2.23√h
2
a
1
+ a
2
=2.23 (√h
1
+ √h
2
)
a
1
, a
2
:単位[海里]
h
1
, h
2
:単位[メートル]
映らない島
10
海里
a
1
+ a
2
[海里]
探知距離
h
2
[メートル]
物標の高さ
h
1
[メートル]
レーダ空中線の高さ