78
4.4 レーダトランスポンダ(SART)の画面表示
SART は、GMDSS により承認された装置で、遭難事故が発生した場合に、生存者の位置を
突き止めるために使われる人命維持装置です。SART は、9GHz の周波数帯で作動し、救命船
や捜索飛行機のレーダにより発射された 9GHz のレーダ波を受信すると、捜索者に遭難位置を
知らせるため、一連の応答信号を発生します。
SART をレーダ画面に表示するために次の設定を行ってください
① 距離範囲(レンジ) : 6海里または 12 海里
② 海面反射抑制(SEA)つまみ : 最小(左方向一杯に回す)
③
自動海面反射抑制(AUTO SEA)
: オフにする
④ 同調調整(TUNE)つまみ : 同調をはずす(クラッタ表示を弱くするため)
⑤ 干渉除去(IR) : オフにする
⑥ 映像処理(PROCESS) : オフにする
【画面例】
SART 信号を表示するために上記①~⑥の設定をした場合、自船の周囲の物標が
レーダに写らなくなりますので、衝突防止と座礁防止のため目視による自船周囲
の監視を十分に行ってください。
また、複数のレーダを搭載している場合は、1 台の 9GHz 帯レーダで SART 信号
の探知に用い、他のレーダは必ず衝突防止、自船周囲物標の監視、座礁防止およ
び自船位置の確認をするために、通常のレーダとして使用してください。
SART 信号探知終了後は、レーダを通常航海用に再調整する必要があります。